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Choose Your Life

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Ep.5

何百年も受け継がれてきている神楽。
神楽の演出を担当する、anno lab もとはるさんにあれこれ聞いてみた。

​寒い日が地味に続いている2月。そろそろ春の幕開けでしょうか、はやく暖かい季節が来て欲しいですね。

冬が好きな方、夏が嫌いな方にとってはどうなんでしょう…。南国、九州で育った私は冬がどうしても苦手です。

そんなとても寒かった昨年末、雑誌「Pen」のクリエイター・アワード2021を見ていると衝撃の絵が!

なんと高千穂の夜神楽がババーン!!そのクリエイターとは、福岡を拠点に活動するクリエイティブ・ラボだそう。

Choose Your Life第5弾は、福岡を拠点に活動するクリエイティブ・ラボ、anno lab(あのラボ)さんのところへお邪魔し、地域に伝わる民俗文化・デジタルアート関連の企画から制作(演出)を手掛けるディレクター、もとはるさんこと、西村 元晴さんにお話を伺っていきます。

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もとはるさんこと、西村元晴さん @anno labにて

(Thousand Valley 以下TV) 

よろしくお願いします。

 

(もとはるさん) 

よろしくお願いします。

 

(TV)

まず御社、anno labの野望は、世界一楽しい街を創ることということですが楽しい街を創るとはどのようなことでしょうか? 

 

(もとはるさん) 

個人的に私は「楽」というワードが大切だと思っています。楽しいことをするとポジティブな影響が出ると思っているのですね。当たり前だけど楽しいとこに人が集まってくるのは、普段の生活の中でも明らかです。自分が仕事する時も自分が楽しめないとお客さんは楽しめないと思っています。その楽しさを生み出すために何ができるか?に自分達は重きを置いてますね。出来るだけ関わる物事に対しては、自らが楽しいと思えることをやっています。そしてそれがゆくゆくは楽しい街づくりにも繋がるんじゃないかと考えます。 

 

(TV) 

それは場所とかにも関わらずですか? 

 

(もとはるさん) 

はい、そうですね。自分が楽しみ、それを共有できる人たちと何かやれればなと思っています。 

 

(TV) 

anno labは現在どのような事業を展開しているのか教えてください。 

 

(もとはるさん) 

弊社はプログラマー、デザイナー、映像ディレクター、プロデューサー、ディレクターなどが在籍しています。私は舞台の演出や地域にある文化に関わる物事に関わる事が多いですね。なので会社としては色々な分野のクリエイターが集まって企画やプロデュースをしているという感じです。

 

(TV) 

主にもとはるさんは舞台の演出を手がけていて、anno labさん自体は企画を日本各地で行なっているという認識でよろしいでしょうか? 

 

(もとはるさん) 

そうですね。福岡でいうと福岡市科学館の展示、動物園のエントランス、福岡タワーのコンテンツ制作とかですかね。海外ではシンガポールの商業ビルのエントランスにインタラクティブな光の演出を手がけさせてもらったり、最近では、大分県豊後高田市に「不均質な自然と人の美術館」という常設の体験型美術館を作らせてもらいました。 

 

(TV) 

相当色々なことをされているんですね。 

(もとはるさん) 

いや〜そうですね。自分以外、代表も40歳くらいで、みんな若いですけど、優秀な若い連中が集まってて頑張って楽しいことやろうとしてますよね。 

 

(TV) 

すごくいいことですよね。 

(TV) 

地域に伝わる民俗文化・デジタルアート関連の企画から制作(演出)を手掛けるディレクターということですが、宮崎の神楽文化をあのラボ(福岡県の企業)が企画演出することになったきっかけを教えてください。 

 

(もとはるさん) 

最初は20年ほど前に福岡県の文化財を紹介するイベントを企画したんですね。 

その時に福岡の京築エリアにある豊前神楽も参加されていて、それがきかっけです。その後、九州の神楽にもご縁が広がって、宮崎の神楽との直接的関わりは、2014年の九州国立博物館で企画した「東九州 神楽人の祭展」です。福岡、大分、宮崎の三県合同での開催でした。そのから、高千穂も含む宮崎の神楽団体との付き合いも生まれたという経緯です。 

 

(TV) 

どれくらい「神楽」に携わっているんですか? 

 

(もとはるさん) 

約20年ですかね。 

 

(TV) 

「神楽」が分からない方のために「神楽」とはどういったモノ(基本を)なのか教えてください。 

 

(もとはるさん) 

難しいですね(笑)。昔から何か問題があったらそこで暮らす人たちが集まって話し合ってたと思うんですね。その場では、問題解決の為の祈りや願うような神事事に加え宴のような直会事が行われたんじゃないかと。そこに神楽のような神事芸能が求心力として必要だった。「神楽とは」を語るのは私には難しいですが、人々の暮らしに寄り添い定着してきた地域文化の象徴的な存在だと思います。宮崎には現在200を超える団体があります。海側は春神楽が多く、山側は冬神楽ですね。 

 

(TV) 

違いがあるんですね。 

 

(もとはるさん) 

そうですね。その土地に根差したものですから、高千穂の中でも地域によって神楽は違いがあります。 

 

(TV) 

それぞれの特色が土地ごとにあるんですね。 

 

(もとはるさん) 

あります。本当に面白いなと思います。 

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みやざきの神楽 国立能楽堂公演 ~高千穂の夜神楽~ 2021年12月26日

(TV) 

例えば違いなど教えていただけますか? 

 

(もとはるさん) 

無形民俗文化として暮らしの中に根付いてるので、この地域ではこういう風に表現してるけど隣の地域では違う表現になってたりします。それがなぜ変わったとかは、理由がはっきりしないんですよ。それがやっぱり無形民俗文化の面白いところで、暮らしと人に伝わっていくんですよね。暮 らしと人に影響されながら少しづつ今でも変わっています。 

 

(TV) 

コミューン的な要素がありますね。 

 

(もとはるさん) 

そうですね、その地域の人たちの合言葉みたいな意味合いもあるんじゃないかなと思います。現代の若者たちが自分達の挨拶があるような感じですかね。だから祭りごとにも自分達の合図というか表現があるのかなと思いますね。 

 

(TV) 

神楽は歴史が長いですが、その歴史の中で型を変えているという認識でよろしいでしょうか? 

 

(もとはるさん) 

そうですね。無形民俗文化の面白いところですね。例えば福岡の神楽と大分の神楽では見てすぐ違いがわかると思います。 

 

(TV) 

全く神楽を見たことなくても違いがわかりますか? 

 

(もとはるさん) 

わかると思います。全然違いますね。高千穂内の神楽の違いなどは、何回か見ないとわからないかもしれないけど少し離れた地域だと違いはすぐにわかると思います。 

本当に面白いですよ。豊前(福岡県・大分県)の方は、「湯立て神楽」とか、火を使ったり、高い棒に登ってアクロバティックな事をやるんですが、それは修験の影響が色濃く残ってたりします。 

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みやざきの神楽 国立能楽堂公演 ~高千穂の夜神楽~ 2021年12月26日

(TV) 

ちなみに「高千穂神楽」の特徴はどのようなものですか? 

 

(もとはるさん) 

絵柄が複雑で凝った彫り物(えりもの)を四方に飾るのは、高千穂の特徴ですかね。昔は家ごとに(彫り物の)型があったようです。かなり手間暇がかかると思います。それだけ大切なものなのだと感じますね。 

 

(TV) 

私たちも彫り物を拝見した時にすごく凝っているなという印象があります。 

800年程前から継承されてきた神楽の魅力は何でしょうか? 

(もとはるさん) 

やっぱり土地にしっかり根差していて、その土地の風土や生き様が神楽を通して見れることが面白い。それぞれ神楽との向き合い方が団体ごとに異なっていたりもするんですね。人々の現在の暮らしぶりもわかります。 

 

(TV) 

神楽を通して土地を知るといった感じですね。もとはるさんが神楽の仕事をする上で意識して取り組んでいること、大切にしていることはありますか? 

 

(もとはるさん) 

自分の中で一番大切にしていることは、地元の人たちにとって大切な文化ということを忘れないようにすること。当たり前ですが、ちゃんと地元の人たちに挨拶から始めることですね。そして地元の人の考えをしっかり聞くことですかね。やっぱり舞台というものは普段されている場とはとかなり異なる場所です。その説明をしっかり伝えて理解していただいてます。慣れている方もいらっしゃいますし、中には戸惑う方もいます。なので出来るだけ丁寧に説明すること、伝えることは大切です。

本場での神楽を訪ねてらったらわかりますが、皆さん神楽を囲んでお酒でも飲みながら自由に楽しんでいらっしゃいます。

しかし公演だと客席に座って真剣に鑑賞するので集中力が長く持たないし時間も決まっているのでそういうわけにはいきません。そこを工夫しています。高千穂もそうですけど、神楽は1演目約1時間近く、同じ動きを続けたりします。奉納神楽では、神楽が舞われている横で隣の人と話をしたり、お酒を飲みながら神楽を楽しんでいる。その風景が本来の姿なんです。神楽を見るというよりは囲むという感覚に近いと思います。あくまでも里の暮らしに根付いているものなので。 

 

(TV) 

本来神楽は人の家で行われていると聞きましたが本当ですか? 

 

(もとはるさん) 

元々宮崎の神楽はそうですね。ただ今は高千穂でも神楽宿をやっているのは少ないです。 まず家で神楽を行うためには家財道具を一回全部出さないといけないんです(笑)。大変です。現代は公共スペースがあるので、そこを使う形が多いです。 

 

(TV) 

なるほど表現場所も進化していますね。公演の演出はどのように作っているのですか? 

 

(もとはるさん) 

自分がやる公演の場合は先程の理由でいつもどおりはできないので、演目を短くしてもらったりしてプログラムを作ってます。 

神楽を舞う場となる御神屋(みこうや)の造りも地区によって違うけど舞台に合わせた提案をしています。自分が手がけるときはあくまでも神楽の一部を紹介しているというスタンスをとっています。本来の神楽の姿はその土地を訪れてくださいというメッセージを込めています。この文化を1人でも多くの方に現地で本物の神楽を感じて欲しいと思っています。

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みやざきの神楽 国立能楽堂公演 ~高千穂の夜神楽~ 2021年12月26日

(TV) 

20年携わってきて、始めの頃と現在で来場者の年齢層が変わったりしましたか? 

(もとはるさん) 

公演では50代以上の方が多いですかね。ただ最近は女性の若い方が増えてきました。パワースポットなどの神的なもの?の影響かはわかりませんが、エネルギーを感じるものに対して敏感になっているのかなと思います。先日の東京公演も若い方が多かった印象です。全国にまだ神楽は5000団体くらいあります。今は東京で暮らしている人も小さい頃に神楽を見ていた人は多いのかもしれません。だから、毎回関心が高い方が東京には多いのかもしれません。 

(TV) 

私自身も東京の方が祭りに関心が強い人が多い気がします。高千穂も東京の女性が訪れるイメージがあります。 

(もとはるさん) 

そうですね。何年か前に高千穂のバスツアーを福岡の旅行会社が企画した時はバス2台くらいチャーターしてましたよ。

それも若い人が多かったですね。 

(TV) 

ボートのところ「高千穂峡 真名井の滝」は結構観光客が常にいますよね。 

(もとはるさん) 

あそこはね。多いですね。 

 

(TV) 

そこ以外は車が必要な土地ですから(笑) 

 

(もとはるさん)

そうですよね。 

 

(TV) 

弊社の製品を作る生産者(田部清次郎氏)も長年にわたり神楽文化を伝承、引き継いでいます。 (現在は引退)

高千穂に住む住人の方々は神楽をとても大切に思っています。もとはるさんからみて彼らが大切にしているものはどのように見えていますか? 

 

(もとはるさん) 

神楽をやるのが当たり前という文化ですよね。強制感はないと思います。地域の祭事として大切にされていると感じます。助け合わないと豊かな生活につながらない。だからこそコミュニティを大切にされています。今はコロナ禍の影響で祭りがないのでみなさんムズムズされていますね(笑)やはり暮らしに根ざしているから、やらないと違和感があるんだろうなと思いますよ。 

 

(TV) 

地理的にもコミュニティの結束は強くなりますよね。 

 

(もとはるさん) 

そうですね。だから祭りごとが残っているのもコミュニティの影響が大きいと思います。あと、私は 、賄いを見にいくようにしているんですよ。賄いは祭りの準備みたいな感じなんですけど。男性陣は舞うので楽しそうにしていますが、成功するためには準備をする女性陣の力が必要で、女性陣が元気に準備しているところは祭りも盛り上がります。その一方で女性陣のコミュニティが崩れていると、賄いがお弁当の仕出しに変わったりします。そうすると祭りの継続も危うくなってきます。 

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みやざきの神楽 国立能楽堂公演 ~高千穂の夜神楽~ 2021年12月26日

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「高千穂の夜神楽 大濠能楽堂公演」みやざきの神楽 福岡公演2019

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「高千穂の夜神楽 大濠能楽堂公演」みやざきの神楽 福岡公演2019

(TV) 

なるほど、何百年も継承することは、強い想いがないと厳しいですよね。 

 

(もとはるさん) 

そうですね。女性陣は他のエリアから嫁いできた人が多いから気持ちがなおさら必要ですね。 

 

(TV) 

女性陣をどれだけ日頃から大切にするかですね。 

 

(もとはるさん) 

東京公演は、もちろんPRという要素もありますが、それより大事なのは神楽を舞っている人たちがあの東京の国立能楽堂の舞台で舞ったという事実を持ち帰ることですね。子供たちや親戚がその事実を知って、国でも認められているすごいことなんだって!なるじゃないですか。それは町、村の誇りに繋がりますよね。そうすると村の人たちもうちの神楽はちょっと違うんだぞというプライドになると思うのです。そうすると結果的に神楽の存続、継承に繋がると思います。能楽堂には他にはないピリッとした雰囲気というか気配が漂っているんです。

 

(TV) 

確かにピリッとしそうですね(笑) 

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インタビューの様子

(もとはるさん) 

場が持っている力ってあるんですよね。そこで舞ったという事実は彼らにとっても自信になります。私たちが作ったポスターもずっと貼ってくれてるので、大事な記録として残っているんだなと思うと同時にこの事業をやる意味があると思います。 

 

(TV) 

素晴らしいことですよね。私たちが初めてあのラボさんを雑誌の記事で見た時は、他に掲載されていた方達はIT系のインタラクティブな方がほとんど、anno labさんは神楽のポスターですごく衝撃を受けました。 

 

(もとはるさん) 

(笑) 

 

(TV) 

それでは最後になるんですけど、会社もしくはもとはるさんの今後の予定をお願いします。 

3月5日に福岡市六本松の福岡市科学館で福岡市伝統芸能公演があります。 

・福岡市伝統芸能公演「福を描く   ~春招きの祭り~」 

http://www.ffac.or.jp/news/detail612.html 

 

詳しくはあのラボさんのHPを覗いてください! 

 

大分県豊後高田市長崎鼻リゾートキャンプ場内にある常設美術館 

・不均質な自然と人の美術館 

https://nature-and-human.art/ 

 

・ストリートファイター「俺より強いやつらの世界展」(東京) 2022年2月10日(木)〜3月27日(日)@東京アニメセンターhttps://streetfighter.artne.jp/ 

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anno labさんにお邪魔しました。もとはるさん(写真右)

今回は無形民族文化財でもある「神楽」について、もとはるさんに詳しく聞いてみました。

神楽の始まりは1000年ほど前と言われていますが、それだけの月日が経っても、今でも大切にしている人たちがいる。

日本山人参生産農家の​田部精治郎氏は

「神楽は身近に楽しいお祭りのようなもので、町のみんなが大切にしているイベントのようなものだ。」

と言っていました。

「伝統文化」と聞くと堅苦しいような印象を受ける人たちも多いと思います。

だけど、そこには人々の純粋な祈りであったり、人が人らしく生きる、楽しみがある。

いくつもの時代を超える中で、みんなが大切にしたことによって残っていくのだと実感しました。

皆様も是非、神楽に足を運んでみてはいかがでしょうか。

私たちも日本山人参という薬草を大切にし、人々の身近な存在にしていくことで、

次の世代へと引き継いでいきたいと思っています。

万能薬として人々から愛用されてきた日本山人参には様々な効果が確認されてきており、

抗アレルギー作用も確認されています。

3月の花粉が舞う時期に、こちらのオンラインストアより日本山人参を是非お試しください!

次回のChoose Your Lifeもお楽しみに!

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